♪LEE RITENOUR / Smoke 'n' Mirrors♪
【遊びたいヒト、この指と~まれ♪ 】
…と言ったかどうかは別として、このギターリストの呼びかけに集まった
スゴ腕プレイヤーは総勢23名。名盤"Harlequin" で双頭リーダーの
一を担ったデイヴ・グルーシンを筆頭に、“低音王”ブライアン・ブロンバ
ーグ。ジェントル・ソウツのメンバー、パトリース・ラッシェン。パーカッショ
ニストの第一人者、パウリーニョ・ダ・コスタ。“ジャコの再来”リチャード・
ボナ。さらに、エイブ・ラボリエル、アレックス・アクーニャ、シーラ・E に、
ヴィニー・カリウタ、ジョン・パティトゥッチ・・・・・・・・ああ、もう面倒くさい!
これだけのメンツを「と~まれ♪ 」の一声で集結させられるのは、おそらく
この方ぐらいのもんでしょう。LEE RITENOUR(リー・リトナー)さん。
本日のアルバム・レビューは、このリーさんが2006年に発表した、壮大
な“フュージョン遊戯”的作品"Smoke 'n' Mirrors"。前述した23名
のプレイヤーが、リーさんのギターと共に、恐ろしくハイレベルに( 時に
限りなくユル~く)遊びまくっている好作です。(・ω・)b ~★★★
この作品、ネット通販サイトや、音楽誌におけるアルバム評では、必ずし
も『賞賛されている』とは言い難いものがあります。
概して、「アフリカンって、どうよ?」とか、「メンツのワリに地味」、あるいは
「グダグダ」といった酷評もあったりしますね。正直な所、私の第一印象も
それらに近いものがありました。「あらららら?・・・・う~ん・・・・」みたいな。
ところが、昨年あたりから、個人的に楽器を再開した影響なのか、このア
ルバムに対する印象が大きく変わって来ているのです。
一回目よりも二回目、二回目よりも三回目といった具合に、リスニングを
重ねていくと味が染み出してくるアルバムってありますよね。この作品も
どうやらソレらしい、と最近思うようになったんですね。
↑ 一曲目にかかるのは、リーさん作の"Waters Edge" 。注目して
いただきたいのは、美しく配置された、ひとつひとつの音の競演。そして
その中で大胆に“遊ぶ”、各プレイヤーのテクニカルなフレージングです。
特にベースのリチャード・ボナのパーカッシヴなプレイは必聴。リーさんの
メロディをクリアに引き出し、ドラム、パーカッションのリズムと緊密に連動
しています。曲名のムードを見事にイメージ化していますね。(曲が先?)
二曲目はパトリース・ラッシェン往年のヒット曲"Forget Me Nots"。
原曲はパトリースがリード・ヴォーカルを取っていますが、こちらではザマ
ジョベという女性がリードを取っています。パトリースはフェンダー・ローズ、
オルガン、バック・ヴォーカルで活躍していますね。
このトラックは、アルバムのコンセプト、『真剣に遊ぶ』(?)を象徴してい
るように感じます。曲中に一瞬だけ挿入されるアフリカン・ヴォーカルや、
曲のフェイズ毎に異なるカラーを持つリズム・アレンジを施している辺り、
妥協しない遊び心を強く感じますね。ギターの音色変化も万華鏡のよう。
上で挙げた以外にも、シタールの音色が印象的なオープニング・トラック
"Smoke 'n' Mirrors" 。名曲"Mountain Dance" を彷彿とさせ
る、デイヴ・グルーシン作 "Southwest Passage" 。アンプラグドな
テイストが耳に心地よい"Lovely Day"。リーさんとボナのソロ対決が
炸裂して、残った頭髪に引火しそうな勢いの"4 1/2 Storm" などが
私・ヤセガエルがヘヴィロテしているナンバーです。
もう一度申し上げますが、最初に一回聴いただけでは、この作品の真価
は堪能できません。何回も、それこそ「これでもか!」と聴いてみてくださ
い。彼らがどれだけ真剣に遊んでいるか、どれだけ凄まじい才能を有して
いるか、ハッキリと体感できるアルバムですよ!(`・ω・´)b ★★★
★★★★ 収録曲はコチラ ↓ ★★★★
1.Smoke 'n' Mirrors
2.Capetown
3.Southwest Passage
4.Waters Edge
5.Blue Days(Dias Azuis)
6.Spellbinder
7.Memeza
8.Povo
9.Lovely Day
10.Township
11.Forget Me Nots
12.Stone Cool
13.Motherland
14.4 1/2 Storms