【ボブ爺の実験的秀作 for FOURPLAY】
本日のピックアップ作品は、’96年、ボブ・ジェームスとカーク・
ウェイラムが共同製作した
“ Joined at The Hip” です。
サブタイトルにある“実験的”というキーワードは、このアルバム
の持っているテイストと、“96年”というリリース年から連想した
私的見解です。もし、ボブ爺やカーくんが、ライナー・ノーツか何
かで全然違うことを述べていたならゴメンナサイ。「そういう感じ
方もあるのか」という程度に読んでいただければ幸いです。
★★★★★★★★★★ さて、その ’96年です。
’96年といえば、ボブ爺率いる大御所バンド、
FOURPLAY が、
リー・リトナー脱退後のギタリスト探しに奔走していた時期と重
なります。結論から言ってしまうと、この時期すでに、「後釜は
ラリー・カールトンで」という構想があったのではないかと思うん
ですね。リーと同じだけのキャリア、実力、知名度を持っている
ギタリストは当時ラリー・カールトンただ一人。彼に白羽の矢が
立ったのは当然といえば当然の帰結だったでしょう。
ただ悩みどころだったのは、ラリーのプレイ・スタイルです。
リーの洗練されたジャジーなギターと比較すると、ラリーのギタ
ーはエモーショナルでブルージー。’95年に先行リリースされて
いた作品
“ Larry&Lee” で、ギタリスト同士抜群のフィッティ
ングを見せていたとはいえ、
FOURPLAY とフィットするかどうか
は別問題。さらにバンドのコンセプト、アルバム・セールス、スケ
ジューリングの確保等々……。数々の悩みにボブ爺の頭髪の
後退も加速していたことでしょう。
さあ、そこで登場したのがこの
“ Joined at The Hip” 。
カーくんには悪いけど、彼のソウルフル&ブルージーなサックス
は、どーにも“仮想ラリー”のような気がしてならないのです。
例えばボブ爺作の2曲目
“ Kickin' Back” なんかは、カー
くん以外のオケはまるっきり
FOUPLAY です。ベースのクリス・
ウォーカーのプレイはネイサン・イーストのそれだし、ドラムスの
ビリー・キルソンの淡々としたリズム・メイクはハーヴィ・メイソン
の特徴的なプレイをコピーしたかのようです。
で。結果はどうだったか。
言うまでもなくこれは大成功でした。
ボブ爺の品の良いバンド・サウンドと、カーくんのエモーション溢
れるメロディが見事に融合しています。ボブ爺もかなりの手応え
を感じたんじゃないでしょうか。
またソレとは別に、ギタリストとして参加しているジェフ・ゴーラブ
のプレイも、ある意味“仮想ラリー”ですね。彼の得意としている
ブルージーなギターは、後の
FOURPLAYサウンドの雛形を見
るような気がします。
★★★★★★★★★★ かくして翌年の ’97年、ラリー・カールトンをギタリストに迎えた
新生
FOURPLAYが結成され、さらに翌’98年、4thアルバム
“ 4” のリリースへと繋がっていきます。
カーくんにはホント申し訳ナイけど、このアルバムは、ボブ爺が
“
FOURPLAYの存続”という主題を意識して行われた“実験”
の意味合いが強いように思われます。もちろん、カーくんの側
にとっても非常な刺激になったことは間違いないのですが。
(カーくんの作風、このアルバムの前後で大きく違いますもん)
他にも、全体的に“遊び”のファクターも顕著だったり、楽曲の
演奏時間を長めに取ってソロを楽しんだり、聴き所はかなり多
いアルバムなので、未聴の方はぜひチェックしていただきたい
ですね。季節的にも今がベスト・マッチ。秋の夜長のお供に♪
★★★★ 収録曲はコチラ↓ ★★★★ ① Soweto
② Kickin' Back
③ Out of The Cold
④ Deja Blue
⑤ Midnight at The Oasis
⑥ Tell Me Something Nice
⑦ Tour de Fourths
⑧ The Ghetto
⑨ The Prayer
★★★★★★★★★★★★★★★★
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テーマ : SMOOTH JAZZ ジャンル : 音楽
コメント(転載)
お邪魔します。
成るほど!実に興味深いお話ですね。
このアルバムは聴いた事が有りませんが、レヴューを読むと何となく音が想像出来そうですネ。
フォープレイ好きな私としても実に気になるアルバムです。
投稿 FUSION | 2007.09.03 21:30
To FUSIONさん
こんばんは!(⌒∀⌒)/
ご訪問&コメントありがとうございます♪
このアルバムは、便宜上スムースジャズにカテゴライズ
しましたが、根っこはフュージョンです。FUSIONさんも
きっとお気に召されると思います~!
ちなみに私、このアルバムは、フォープレイの“4”ならぬ、
“3.5”と解釈しておりますです。
では、これからFUSIONさんのブログへ参りますね!(・ω・)
投稿 ヤセガエル | 2007.09.03 23:00
こんにちは。猫ケーキです。遊びにまいりました。
私、カークウエイラムってほとんど(意識的には)聞いた事なかったのですが、一年ほど前にボブジェームスのライブDVD(1985)で彼の姿を見てぶっ飛びました。すごく熱いヒトですねえ! 感動的でした。(ウェザーリポートの再結成映像でも、そういえばカークの吹く姿を見ました、もう10年以上前でしたか。)
もっとウェイラムの演奏を聞いてみたいです。もちろんこのアルバムも。
また寄らせて頂きますね。
投稿 猫ケーキ | 2007.09.05 21:43
To 猫ケーキさん
ようこそおいでくださいました!
コメントありがとうございます♪
さすが猫ケーキさん。かなり昔の映像もチェック
されてますね。
カーくんはボブ爺の“愛弟子”的存在ですから、
昔から結構同じステージで演奏しているらしいで
す。今ではコラボレーションのパートナー!出世
しましたねー(笑)(・∀・)b♪
20年前は“熱かった”カーくんも、現在は叙情派
サクソフォニストの代表選手ですね。個人的にイチ
オシなのは、’97年発表の“Colors”という作品。
夕暮れ時に聴くと「じ~ん」とする楽曲がイッパイ
収録されています。ゼヒ聴いてみてください!
またお気軽に遊びにいらしてくださいませ♪(・∀・)
投稿 ヤセガエル | 2007.09.05 23:04
ええと、このコメントは幾つ目だろう?
「実験的」というのは面白い見聞ですね。
しかしながら、ボブもカークも好きですけど、
なんかこのアルバムは印象が薄め。
気になっていたMidnight at The Oasisも
ちょいと線が薄い気がするし・・・
まあ、師弟感が深まったアルバムと解釈しておきましょうか。
投稿 でんた | 2007.10.17 14:40
To でんたさん
こんばんは!(・∀・)/
コメントありがとうございます♪
でんたさんの仰る“印象が薄い”という感想は、このアルバムを
聴いたリスナーの多数派意見でしょうね。
イイ意味でも悪い意味でもサウンドにアクが無いし、ボブ爺も、
アール・クルーと共演した時のような音楽的化学反応を起こし
てませんね。
どちらかというと、楽しみつつ実験しつつ、“自然体で作り上げた
”共同アルバムという印象でしょうか。
ただLIVEで共演すると、二人とも“熱く”なっちゃうトコロが面白
かったりします。
観たいなあ・・・ボブ爺のLIVE・・・。ハゲ切らないウチに(笑)。
投稿 ヤセガエル | 2007.11.14 23:20