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♪BRIAN CULBERTSON / Somethin' Bout Love♪

somethin bout love 00

【それは別れの『ヘ短調』】

『3歳、音楽に大きな興味を示す。4歳、オモチャのタイコがお気に入り。5歳、ラッパを片時も離さず、6歳の時、父親の影響でクラシックに開眼。7歳、チャイコフスキーの“ピアノ協奏曲第一番”に衝撃を受けて両親にピアノをねだる。そして8歳、クラシック・ピアノの教室へ通い始める。』

「あれ?ブライアンの経歴ってそんなんだった?」…とお思いになったファンの皆様ゴメンナサイ。コレ、ブライアンではなく、私・ヤセガエルの経歴なんでございます。(スイマセンねぇ、紛らわしくて)

実は、この記事を投稿するにあたって、ブライアンのバイオグラフィーを改めてちゃんと調べてみたら、あまりにも自分と共通項が 多かったんで、ちょっとビックリしているのです。 冒頭↑ のマイ・バイオも、チャイコフスキーの部分を、ファーガソンとかサンボーンへ置き換えれば、そのままブライアンの経歴として転用できるくらいにウリ二つ。そして、このバイオを読み進めていくうちに、私自身忘れていた“苦い記憶”が鮮明に蘇ってきて、懐かしさと後悔がぐるぐる~…。(笑)

 『8歳でピアノを始め、ピアノとイヤー・トレーニング(聴音)をはじめる。幼少の頃からメイナード・ファーガソン、バディ・リッチ、ブレッカー・ブラザース、デヴィッド・サンボーン等のスムース・ジャズや、スウェット&ティアーズ、タワー・オブ・パワー、E.W.&F等70年代R&Bサウンドを聴きあさり育つ…』っていうのはブライアンの経歴。いや、もう他人とは思えないくらいルーツがソックリ。全く因果関係の無い所に生じる偶然の一致を、“シンクロニシティ作用”と定義付けたのは心理学者のユングですが、そのユングが同時代人だったら、私とブライアンの相似関係も研究対象になっていたことでしょう。(あ。決め付けた。今日はノリしんどいスか?)

ブライアンが現今のスムースジャズ・シーンで、“若手ナンバーワン”とか“次世代のリーダー”などと評されているのは周知の通り。キーボーディストとしてだけでなく、トロンボーンやフリューゲルホルンを持たせても一流。サウンド・クリエイター、あるいはシンセ・プログラマーとしてもセンス抜群。最近はプロデューサー業にもその才能を発揮し、今後のコンテンポラリージャズ・シーンのハートランドで、最も強力なダイナモとなるであろうことは疑う余地がありません。

一方、私・ヤセガエルは、サイドバーの左側のプロフィールにある通り、ありふれた一般シヴィリアン。“鍵盤王子”ブライアンのごとく、エキサイティングな演奏で聴衆を沸かせたり、魔法の旋律で女性のハートを蕩けさせたりすることは不可能。たとえピアノに触れることがあったとしても、「もう!そんなメチャクチャに鍵盤たたかないでよ!!」などと言われてヘコむだけ。(叩いてるんじゃなくて、弾いてるつもりなんだけど)

ブライアンと私。スタートはウリ二つでも、全く違う人生を歩んでいる二人。その二人の相違と、彼我の分岐点は果たしてどこにあったのか?

いや、『どこにあったのか?』も何も、思い出しちゃったもんね。
あの忌まわしい“事故”を・・・・。

somethin bout love 01

鍵盤の上では、自由自在に指が動いたものです。
スコアの情報を正確に把握し、それを表現し、よどみなく美しく演奏する。
小学3年生。その“事故”が起きる直前までの私は、おそらく“鍵盤王子”ブライアンとイイ勝負だったでしょう(ノリしんどい?)。また、私自身、寝ている時と食べている時以外はピアノに向かっているというくらい、練習に明け暮れていたのです。

それもそのはず。当時、“国民総中流階級”などと言われていた時代、その典型中の典型のようなサラリーマン家庭が、息子の狂気じみたダダに押し切られてピアノを購入するハメになり、さらに、街でナンバーワンと認められている(お月謝もナンバーワンの)先生に指導を仰ぐことになったのです。その出費の打撃は、それこそ一家存亡の危機に直結しかねないレベル。父親は、息子にうっかりチャイコフスキーなんぞを聴かせた自分を心底恨んだに違いありません。

「ピアニストになれ!お前の将来はピアニストだ!」

三日坊主で終了されてはたまらない!とばかりに、父親の叱咤激励もすさまじく、私・ヤセガエルも、その期待を裏切らない上達ぶりを示したものでした。

『バイエル上・下』、『ツェルニー』、『ハノン』…。
常人の二倍のスピードでレッスンをこなしていき、コンクールでの入賞、コンテストへの出場依頼まで舞い込むようになった頃、いつしか私は、本気でピアニストを目指す“鍵盤王子”として認知されるようになっていったのです。(いや、マジで。)

しかし…。

周囲の期待と、私のピアノへのモチベーションは、実は全く交わらない所に存在していました。

私が一生懸命ピアノのレッスンに励んだのは、単にピアノが好きだとか、才能が有るとか、小遣いを値下げされた父親のプレッシャーなどが影響したという訳ではなく、もっとシンプルで、もっと不純な動機があったからなのです。

somethin bout love 02

「まぁ…ヤセくん。今日も頑張って練習してきたのね。偉いワ」

…白く透き通った指。美しい黒髪。
長い睫毛を蓄えた、ブラウンがかった瞳を持つ目…。

街でナンバーワンと評されたそのピアノの先生は、その美貌もまた噂のタネになる程、素晴らしい容姿を誇る女性でした。
そしてその女性は、おそらく少年・ヤセガエルが、初めて“女性”という存在を間近に感じた、つまり“初恋”の女性だったのです。

「先生に褒められたい!」

私のモチベーションは、実にこの一点へと集約されていました。

必死に練習し、褒めてもらう。期待をされて、また頑張る。ピアニストになりたいとか、チャイコフスキーが弾けるようになりたいとか、そんな野望などありはしません。むしろどうでもよろしい。 先生に褒められたい、喜ぶ顔が見たい。それこそが最も重要だったのです。

-------

ところが…その“事故”は起きてしまいました。

・・・・・

コンクールを翌週末に控えたある日のこと。

私はいつものように、レッスンを受ける為に先生の家を訪れました。

いつものように門をくぐり、いつものように呼び鈴を鳴らし、先生が扉を開けて私を迎え入れる。何度も繰り返された、いつもの光景。しかしこの日、いつもとは大きく違ったことが一つだけあったのです。

それは先生の着ている服。

胸元の大きく開いた(たぶん)ブラウス。さらに、激しく短い(たぶん)タイトスカート。“たぶん”を連発したのは、その服をまとった先生を、殆んど直視することができなかったため、記憶が曖昧になっているという事。そのまぶしさに圧倒されてしまったから、という事なのです。

その日は、レッスンになりませんでした。

まさしく絵に描いたような絶不調。気が散って仕方がない。腕も指も他人のもののよう。片やコンクールは間近に迫っている…。四苦八苦。
そんな私を隣で見ていた先生の顔からは笑顔が消え、次第に険しく変化していく端正な横顔を確認した私は、さらに緊張の度合いを高めていき、そして、たまりかねた先生が私の手を取り、その美しい手を直接重ねて指導をし始めた時、私の緊張は頂点に達しました。

「いい?ヤセくん。コンクールも近いし頑張らなきゃ」
「・・・ハイ・・・」
「肩の力を抜いて」
「・・・ハイ・・・」
「背中を真っ直ぐにして」
「・・・ハイ・・・」
「腰に力を入れる!」
「・・・ハ、ハイ・・・」
「ここからは本番のつもりで演奏してね」
「・・・ハ、ハイ・・・」
「じゃ、いくわよ。1、2、3、ハイ!」

その瞬間でした。

・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

    

ぷぅ。282



・・・・・・

私の下腹部の、さらに下の開口部から、妙なる音が発せられたのです。

・・・・・




ぷぅ。282



「・・・・」

一瞬の沈黙の後、私の耳へ飛び込んできたのは、先生の大爆笑。












「アハハハハハハハッ!!」

・・・・・

「いやだぁ、ヤセくんてば!アハハハハ!!!」


・・・・・・

私は、恥ずかしさで死にそうになりました。

・・・・・

そして…涙を流しながら笑う先生の麗しい唇から、その一言が発せられた時。まさにその時が、私の“分岐点”となったのです。

・・・・・・





「ヤセくん、今日は『ヘ短調』なのね」





--------

その日を境に、私は二度とピアノとは向き合わなくなりました。

頑なにレッスンを拒み、教室へ通うことをしなくなった理由を両親が知ったのは、その“事故”から二週間ほど経った日。先生が謝罪に訪れた時のことでした。

「せっかく続けてきたのに勿体無いわ。別の先生に習ったら?」

『あの先生はイヤだけど、あの先生じゃなきゃイヤだ』という究極のジレンマに陥っているんだ。それが理解できないなら放っといてくれ母上。

「オナラくらいなんだ!先生も気にしてないと言ってるぞ!」

初恋が破れた少年のナイーブな心に、粗塩を塗りつけるような慰めは、慰めとは言わないんだ父上。

・・・・・・

8歳の秋。

私のピアニストとしての人生は終わり、新たな人生が始まったのです。
一家の生活を脅かし、少年の無垢なココロに小さくないキズを残したピアノも、それから程なくして売られていきました。

一方ブライアンの方は、その後、ハイスクールで電子楽器(MIDI)を学び、カレッジ在学中にアルバム・デビューを果たしました。そして今では米スムースジャズ・シーンの中核。スタートは同じでも、人生の転変は奇怪至極といったところ。(まとまってないぞ)

…というワケで、ブライアンのナンバー、ゼヒ聴いてあげてください。彼は私の分身ですから。(んなこたない)
取り上げた作品は、'99年発表の"Somethin' Bout Love"。流麗なピアノと、ファンキーなアレンジ。隅々まで行き届いた丁寧なサウンド・クリエイト。天才の閃きと、計算された職人技のような技術が冴える佳作となっています。
特にアコースティック・ピアノの美しい響きは特筆もの。間違っても演奏中に『ぷぅ』とかしてませんから、安心してお聴きください。(・∀・)




★★★★ 収録曲と試聴はコチラ ↓ ★★★★

01.Somethin' Bout Love
02.Do You Really Love Me ?
03.Get'n Over You
04.The Secret Garden (Instrumental)
05.Sittin' Back
06.Back in The Day
07.It's Only You
 08.The Rise And Fall ( of Loving You )
 09.Escape
 10.The Secret Garden
 11.I'm Gonna Miss You




★★★★★★★★★★★★★★★★
 

ご来訪ありがとうございました!
「ブライアンとは才能が違うんじゃね?」とか、
「アルバム・レビューはどうした!?」
っていうツッコミはノーサンクスで!
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テーマ : SMOOTH JAZZ    ジャンル : 音楽

 

 



Comments
ヤセガエルさん、おはようございます!
楽しく拝見しました!!

物心つく頃には数々のクラシックとストーンズやらサイモン&ガーファンクルやらイーグルスやらを聴かされ、ドヴォルザーク「新世界 第1楽章」好きな小学生は、やがてエアロスミスでロック小僧になり、JAZZとシングルモルトと運命の出会いをいたしました。
音楽は雑食が信条でございます。

先生でモチベーションは変わりますよね!
当然だと思いますよ。
とくに我々男性は。

ブライアンは、やはりこのアルバムでしょうか?
「Something 'bout Love」カッコイイですもんね!
他のアルバムだと個人的には「Secrets」も好きです。

また伺います。
楽しい記事ありがとうございました!
むふふふふ
ピアノの先生についてはむふふふ「とても良い思い出」のようですね。\(^O^)/\(^O^)/

さて、この作品はBrianのSmoothなスタイルでは傑作と言われていますね。なかなか入手が難しい作品でしたが手に入れたときはうれしかったです。Paul Jackson Jr.やDave Kozのサポートを得て流れるようにPianoとKeyを弾くBrian良いなあ。

対照的なFunkyな作品と言えば今年リリースされたBringing Back the Funkをお勧めします。
あはは
いつも楽しいお話ありがとうございます。
笑えます~。って幼いころの苦い記憶ですね。
でも私もずーっとずーっと好きでもなくピアノやってました(やらされてた)が、
今ではほとんど弾けませんので結果的には同じですよね。
音楽ってやると聴くとでは大違いですね。
でもいいですよね。
To ひさしさん
ひさしさん、ようこそおいでくださいました!
コメントありがとうございます♪(・∀・)

おお~…ドヴォルザークにS&G、エアロスミスに
ストーンズ!お見事!!私と同じ雑食星人だ♪
私も、ジャンルのボーダーはあまり気にせず、
「イイものはイイ!」という考えで様々な音楽を
食い散らかしております。

このピアノの先生には、ある意味色んなコトを
教わりましたね。
ピアノだけでなく、音楽の“聴き方”とか、人前
に出る時の心構えとか、その他たくさんの事を。
別れの瞬間は、あっけなかったスけどね。(笑)

"Secrets"は私も大好きな作品ですよ!(・∀・)
ブライアン君のきらびやかなメロディ・メイクと、
ファンキーなリズム感覚が発揮された素晴らしい
アルバムだと思います。

今後もスムースジャズに限らず、色んなジャンル
の音楽をご紹介しようと思ってますので、また、
お気軽にコメントつけていって下さいね!
To 五郎兵衛・風来坊さん
五郎兵衛さん、いらっしゃいませ!(・∀・)
ご訪問+コメントありがとうございます♪

そうですねぇ…確かに『良い思い出』に分類され
ますかね。初チ●ーも、この先生だったし。
(もちろん子供バージョンのチ●ーですが)

この作品、五郎兵衛さんの仰るように、ブライア
ンの“スムース・サイド”の代表作だと思います。
ポールにデイヴ、スティーヴ・コールも参加して
役目柄を心得たニクイ演奏をしていますね。
かたや"Bringing~"は“ファンキー・サイド”と。
こちらはワタクシ未聴なんで、次回聴いてみよう♪
To poohさん
poohさん、コンバンハ♪(・∀・)
ようこそお越しくださいました!

いや~~笑っていただけてよかったよかった。
“苦い記憶”も今となっては笑い話ですから。

あの頃はピュアで真っ白でしたね。今とは大違い。
吸収も早いし、感性も柔軟だし、あのままピアノを
続けていたら…と、たまに思ったりもします。
人生はどこで転換するか判りませんね。
(私の場合『ぷぅ』で転換したワケで)

しかし、“嫌々やらされてた”というのは本当にお
気の毒です。音楽とか習い事って、嫌々やるもん
じゃないですから。
スタイルとしては、現在、poohさんのお嬢様くらい
の加減が、ちょうど良いかもしれませんね。

ああ…でも、あの『ぷぅ』さえ無けりゃなぁ…。


 

 

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ヤセガエル

Author:ヤセガエル
神奈川県在住の一般市民(♂)。このブログで、音楽記事、音楽機材、星空や夜景の話題をお届けいたします。

音楽は、主にスムースジャズを中心にオススメCDのレビューを。音楽機材は、趣味のDTM・DAW、ベース、ギター、サックス等を取り上げています。
流星群情報も定期的にUPしていますので参考にしてくださいね!

 
 
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