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♪ALESSI / Long Time Friends♪

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「あれ?ヤセ君、クリストファー・クロス好きなんだ?」

- 1982年夏。高校1年の夏休み直前。梅雨明け後のそよ風が吹き渡る南向きの教室で私に声をかけてきたのは、それまで殆んど会話をした事の無い同じクラスの男子生徒でした。

当時付き合っていたカノジョから手渡された、クリスのアルバムが収められたカセットテープを、私の手から無遠慮に奪い取るなり、「ボクはシングル曲より4曲目が好きなんだよね」と、突然自説を開陳しだしたその男子・ショウゴ君(仮名)。「なんだコイツは?」…が、私の彼の第一印象でした。

流れるようなウェーブが掛かったナチュラルな髪。涼やかな物腰。スラリと伸びた長い脚。穏やかな声音。そして、女の子が10人いたら 9.9人がグラつくであろう甘いマスク。ハッキリ言って、私はそのショウゴがとても苦手でした。声を掛けられるずーっと前から。中学を卒業し、新しく広がった世界、次なる舞台である高校で、私が初めて「男として勝ってる部分がひとつも思いつかない!!」と思わせたのが、このショウゴだったからなのです。

「もしクリスが好きなら、ボクが最近聴いているアルバムも気に入るかも」

今度ダビングして持ってくるね、などと、私の意志表示も返答も待たずに一方的に言い残して去っていったショウゴに、私は、非常な嫌悪感と、唐突に話しかけられた時の違和感を改めて感じたものでした。



その日の翌日。頼んだ訳でもないのに、ショウゴは一本のカセットテープを片手に、再び私の前に現れました。

クドイようですが、私はそれまで彼とは接点も無く、親しくもなく、彼に頼んだ覚えも無いのです。「持ってくるね」とは言われたけども、これほど早く、しかも宣言通りに実行するとは思ってもいませんでした。

テープを渡されて、怪訝な面持ちだったであろう私に向かって彼は、

「これはアレッシーという双子の兄弟グループで、クリストファー・クロスが製作に関わったニューアルバムなんだ。きっとヤセ君も好きだと思うな」

…と、瞳をキラキラさせながら言ったものでした。

「(…この野郎!キラキラしながら喋りやがって。そんなんだからオイラのカノジョまでがグラつくんだ。『感想を教えて』だ?フン!絶対聴かねー)」

自分とは遺伝子レベルで明らかに異なるその美少年ぶりに辟易しながら、せめてもの抵抗!とばかりに、渡されたカセットテープを即座に封印することを決意した私。それを知ってか知らずか、アレッシーなるグループの魅力やプロフィール、さらに収録曲の聴き所を熱弁するショウゴを、私は不思議なもの(おかしなスイッチが入ってしまった人間)を観るように、彼の形の良い唇が動き続けるのを眺めていました。



そんな出来事から数週間。一度もコンポにセットされることなく、机の引き出しの中に放り込まれていたそのカセットテープは、夏休みに入って間もないある日、ふとしたキッカケで陽の目を見ることになりました。

バンド仲間の一人が、そのアレッシーなる兄弟グループのウワサを聞き、さらにレコード(アナログ盤)を入手して聴きまくっているというのです。

「アレッシー・ブラザースかなりイイぞ!レコード貸すから聴いてみな!」

「聴いてみな!」と言う男は私も認める大の洋楽通。当時その男のライブラリから流れてきた AIRPLAY、THE BLISS BAND、TOTO、MAXUSといったA0Rのアーティストは、私の音楽観が形成される素地を作った重要アーティストばかり。その大元の大プッシュなら、これは聴いておいても良いのではないかと。そういえば、あの美少年・ショウゴが、ナゼかダビングしてくれてたじゃないか、と。

そしてその日、私は、引き出しの中に眠らせていたカセットテープを、初めて自分のカセットデッキにインサートしたのです。



『アレッシー / ~そよ風にくちづけ~』

おそらくショウゴ自身による手作りのインデックスを眺めながら、私は、流れ出したサウンドに思わず唸ってしまいました。

「…こ、これはっ!」

なんという爽やかさ。透明感。そして躍動感!
“天使の歌声”と評されたクリストファー・クロスの、さらに上を行くハイトーン&メロウ・ヴォイス。その未体験の音楽ワールドに、私は瞬時に虜にされてしまったのです。

『- ヤセ君へ -  … カセットのダビングなので音はあまり良くありません。もし気に入ったら、駅前のレンタル・レコードで借りてください。文化祭のライブ頑張ってくださいね … - ショウゴより - 』

インデックスに忍ばせてあったメモを発見したのはその時。「なんだよ、マメなヤツだな。つーか、アイツ、結構いいヤツかもしれないぞ??」
   
アレッシーとクリスがダブル(トリプル?)で歌う4曲目が始まる頃には、“イヤなヤツ”だと思っていたショウゴへの印象も変わっていました。

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夏休みに入ると、自分のバンドの練習や、9月の文化祭への準備(映画製作)が始まり、そこで同じ時間を過ごす機会が増えた私とショウゴは、急速に接近していきました。

同じクラスの仲間として、共同作業を行う同志として、そして何より、同じ音楽を共有する仲間として、彼は非常に誠実で、それまで付き合ってきた他の誰とも似ていない、彼独特の感性を持っていたのです。

彼に出会わなければ、絶対に通らなかったであろうジャンルの音楽にも触れる機会を得ました(DURAN DURAN やデヴィッド・ボウイとかw)。
また、アレッシー以外の新しいA0Rのアーティスト、さらに、そこで歌われている詞の魅力の多くを、彼のおかげで知ることができたのです。

彼自身の人間性もまた独特でした。

美少年的な外見とは相反する硬派な性格。
小さな約束であっても絶対に破らない律儀さ。
微に入り細に穿つ、気配り心配り。
時として情熱的な感情表現。

ショウゴという、それまでとは全くタイプの異なる新しい友人を得る事によって、私は、「中学時代とは違う、新しい世界に踏み出したんだ」という実感を、ある種の好ましい感情とともに抱いたのでした。



…しかしです。

ひとつだけ、どうにも不思議に思うことがあったのです。

・・・・・・・・・・・

それは、ショウゴの態度。特定の場面での。

・・・・・・・・・・・

私は当時、同じクラスの女のコと付き合っていたのですが、いつの頃からか、そのコと私が話しをしていると、ナゼか彼が絡んでくる…。
私は性格的に、そのコとの仲をあまりオープンにしたくなかったので(クラス中の公認でしたけどね)、通常の校内生活では、短時間かつ最低限のコミュニケーションで済ませていたのです。それでも、その短い時間に彼が必ずと言っていい頻度で絡んでくるのです。

初めは偶然かと思いました。たまたまそうなんだろうと。
でも、私のカノジョまでが、「私とヤセ君が話していると、ショウゴ君が…」と言い出すに及んで、これは偶然ではないぞと。

そして、その絡んでくる時の彼の態度がまた異様で、私に対しても、カノジョに対しても非常に厳しい。普段のキャラとは全く異なる圧迫感を伴って、ある意味批判的な態度が表にハッキリと表れていたのです。

「ショウゴは、なぜ私とカノジョが一緒に居ることを好まないのか?」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

その疑問は、文化祭の日に起きたある事件をキッカケに解明されました。



「ショウゴがヤセのカノジョに告白した!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

そんなウワサが駆け巡ったのは文化祭の当日。
クラスの友人から、カノジョの親友、さらには別のクラスのバンド仲間から、様々なルートで、様々な不正確な情報と共に、そのウワサは私の耳へと到達しました。

衝撃と動揺、諦めと悔しさ。私の中であらゆる感情が駆け巡ります。
なにせ相手は『男として勝ってる部分がひとつも思いつかない』美少年。
それまで、「友人だから」と思って抑えてきたコンプレックスが再び頭をもたげ、 「カノジョがヤツのところに行ってしまうかもしれない・・・」という情けない想像ばかりが脳内を暴走します。

「とにかく、まずコトの真偽を」

そう思ってはみたものの、その日に限って、肝心のショウゴと彼女の姿が見当たらない…。ウワサは尾ヒレどころか、胸ビレ・尻尾・脚まで付いてくるスクープ扱い。曰く、

「ショウゴが無理やり彼女を連れ去った」
「抱き合っているところを目撃した」
「ショウゴが平手打ちを食らった場面を見た」

どこまでが真実で、どこからが脚色なのか、その時点では判断のしようがありません。しかし私の中では大きく納得できる部分があったのです。

『やっぱりそうだったのか…』

いつの間にか私とショウゴは恋敵となっていた。私がカノジョと近づく事を、アイツは好まなかったんだ・・・・。そう考えれば日頃の彼の言動や態度に説明がつく。やはり私の感じていた圧力は、それが原因だったんだと。



ショウゴの姿を発見したのはその日の夕方のことでした。

文化祭の喧騒が徐々に平常に戻りつつあった午後4時過ぎ。夕陽の注ぐ渡り廊下のはるか前方で、彼の美しく歩む姿を発見した時、私は彼に何と叫んだのか、ほとんど記憶に残っていません。

私の方を振り返るなり、小走りに遠ざかろうとする彼に向かって、私はまた叫びました。「おい!ちょっと待てよ!」(木村拓哉風:笑)

…私は彼を捕まえ、誰もいない教室で彼に問い質しました。

----------------------------

「どういうことか説明しろよ」
「・・・・・・・・・・」
「他の誰でもなく、オレのカノジョに」
「・・・・・・・・・・」
「オレとアイツの仲を知ってて告白するって、一体どういうつもりだ?」
「ヤセ君、それは事実と違うよ」
「なに?」
「それは事実じゃない」
「とぼけるなよな」
「とぼけてなんかいないよ」

----------------------------

空き教室の片隅で交わす二人のやりとりを知るのは、穏やかな夕陽と、吹き抜ける秋風のみ。ショウゴの胸ぐらを掴む私の右手には、自分のものとも思えない力が加わっていき、初め目を逸らしていたショウゴもまた、やがて私のそれを跳ね返さんばかりの熱さで視線を絡ませます。

----------------------------

「だったら質問を変える」
「・・・・・・・・・・」
「ちゃんと答えろよな」
「・・・・・・・・・・」
「アイツに何て言った?」
「・・・・・・・・・・」
「おまえ、アイツに何を言ったんだよ?」
「・・・・・・・・・・」
「『事実じゃない』と言うなら答えろよ」
「…イヤだ」
「あ?」
「…イヤだ」
「なんだって?」
「イヤだ。誤解される」
「ナニ言ってんだ」
「ヤセ君が誤解する。だから言いたくない」
「誤解するかどうかはオレが決める。おまえが決めるな」
「・・・・・・・・・・」
「答えないなら、おまえとはこれまでだ」
「・・・・・・・・・・」
「あとはアイツに聴く」

----------------------------

『おまえとはこれまで』。そう言った瞬間、ショウゴの視線に力が無くなった事を、私はすぐに察知しました。力を加えていた私の右手はショウゴの胸元から離れ、本当に絶交するつもりでその教室を出ようとしたその時、再び彼が口を開いたのです。

----------------------------

「・・・ヤセ君と、別れてくれって・・・」
「・・・・・・・・・・?」
「・・・別れてくれって言った・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・ゴメン・・・・」
「ウワサは事実じゃないか」
「・・・ち、違うんだ」
「告白したも同然だろ」
「違う。誤解だ」
「なにが違う!オレとアイツが付き合ってて、アイツにオレと別れろって言ったら告白以外のなにものでもないだろ!?ふざけんな!!」

----------------------------

その時です。ショウゴが、すさまじい力で私を壁に押し付けてきたのは。

----------------------------

「いてッ!こ、この野郎!なんだよッ!」
「ヤセ君!いい加減に気付いてよっ!」
「何が!痛ぇ!」
「別れてくれって言ったのは、彼女と付き合いたいからじゃない!」
「はあ!?」
「ボクが付き合いたいのは彼女じゃない!」
「おま・・・なに・・・!?」
「ボクが好きなのはっ・・・!」

----------------------------

壁に押し付けられた私の体へ、さらに接近したショウゴの上半身が傾斜し、私の視界いっぱいに、彼の顔面を広がった時・・・・・。私は心ならずも、本当の意味での『新しい世界』に踏み出してしまったのです。(BGMは↓。上のプレーヤーをストップしてから再生してください…



↑ まぁ…最後までじっくり聴いてくださいな。やっとシャレになったんで…。














唇を奪われた後は、→ 拒否 → 友達関係の解消 → 絶交 → 疎遠になる→ それぞれの道へ → 新しい恋(ショウゴの方) → 卒業…という真っ当なレールを(私の方だけ)往くことになります。

今でこそ(多少は脚色アリで)ネタにして公開できますが、当時は本当に大大大ショック。まことにセンセーショナルな出来事でしたね。

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で、そのショウゴおすすめのアレッシー。彼らが新世界の使者かどうかは別として、この作品のクオリティーは発売当時からトピックでした。

クリストファー・クロスがプロデュースしている点以外にも、参加ミュージッシャンの豪華さ(↑ の裏表紙の白文字の部分)や、そのメンバーが作り出した妥協の無い仕事は、当時のPOPS、Rock、Fusionの温度の高さ、とりわけ、A0Rというジャンルの華やかさを示した部分だと思います。

ちなみに本作。つい先ごろまで、7000円~9000円の超高値で取引されていましたが、今年の7月にリイシューされ、ようやく通常値で購入できるようになりました。買い控えていた方、お初の方、速攻入手してください!


  ★


ALESSI / Long Time Friends(1982) 


1.  Jagged Edge
2.  You Got The Way
3.  As Far As I'm Concerned
4.  Rise Up
5.  I'm Gonna Tell Her Tonight
6.  Put Away Your Love
7.  What A Way To Go
8.  Still In Love
9.  How Lone, How Much
10.Forever
11.Long Time Friends




★★★★★★★★★★★★★★★

ご来訪ありがとうございました!
…ショウゴ君(仮名)へ。
あの時は反射的にビンタをしてすまなんだ。謝ります。
だから君も、イキナリ奪った非礼を詫びてください。
踏み出せない管理人への、愛のクリックはコチラ。
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テーマ : 80年代洋楽    ジャンル : 音楽

 

 



Comments
楽しませていただきました!
ヤセガエルさん、こんばんは。

久しぶりに、甘酸っぱい学園ものの映画を観た気分です。
大林宣彦監督の「尾道三部作」の後に加えても何の違和感も無い「傑作!」かもしれません。

楽しませて(且つ、笑わせて)いただきました!
いつもヤセさんのショート・ストーリーには感心させられていますが、今回は出色の出来でしたねー。

で、Alessiは、私が学生時代にリアルタイムで聴いていました。大好きでしたねー。
当然CDは持っていますが、高値がついていたんですね?知らなかったです。
「Alessi Brothers」と名乗っていた頃のサウンドも良いですよね。
To Apolloさん
Apolloさん、ようこそお越しくださいました!
コメントありがとうございます♪

お…大林監督ですか。恐縮でございますe-263
この物語の主人公(私)が女性だったら、もしくは
相手が女性であれば、あるいは尾道三部作に迫る話
だったかもしれませんが、『男と男』ですからねぇ。
まことに残念な話でございます。

Alessiの作品は、実はこの一枚しか持っておりません。
つい先頃渋谷のHMV(閉店…)で、リイシューされて
いることを知らずに偶然発見して購入しました。
それまでは本当~にアホみたいなプレミアが付いて
ましたからね。入手する気力も失せるくらいの法外
な値段で。一生、ショウゴ君(仮名:笑)の録音した
カセットを聴かされると思ってましたから。嬉しかっ
たですよ。

最近俄かに活気付いているリイシュー・ラッシュには、
経済的な部分を除けば非常にココロ踊るモノがありま
すね。あの“無敵”だった十代の頃が蘇ります。
Alessi Brithersも聴いてみようかな。


 

 

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PROFILE

ヤセガエル

Author:ヤセガエル
神奈川県在住の一般市民(♂)。このブログで、音楽記事、音楽機材、星空や夜景の話題をお届けいたします。

音楽は、主にスムースジャズを中心にオススメCDのレビューを。音楽機材は、趣味のDTM・DAW、ベース、ギター、サックス等を取り上げています。
流星群情報も定期的にUPしていますので参考にしてくださいね!

 
 
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